Dear My Abyss


Dear My Abyss

<基本情報>

ジャンル:世界観・独特

キーワード:クトゥルフ神話

<あらすじ>

※公式ページより一部省略

ある日、平凡な女子高生「朝戸昴」のもとに差出人不明の荷物が届く。
荷物の中には、表題のない本が一冊おさめられており、
同梱された手紙には、『その本は、切り刻むことも燃やすことも出来ない』と記されていた。
昴は二人の友達を誘い、本を燃やそうと試みるが…。

<レビュー>

総合評価: 評価ロゴ

ストーリー:A 絵・演出・BGM:B
・だんだんと壊れていく日常の不気味さがよく表現されている
・中盤までの引きはいいものの、一部神話?の知識がないとよくわからないところあり
・大きく分けて2ルートあるが、謎のままの部分も多く、最後がまとまっていない。
・立ち絵はシルエットのみ、一枚絵なし、背景は写真加工
・BGMは暗めで最小限しか使われず
・システムが(同人ゲームにしては)ちょっと使いにくい

〜その書は、悪夢の扉を叩く。〜

こちらは評判が良かったので期待してプレイしてみました!ただいかんせん神話の話に絡めすぎていて、神話自体を知らないとよくわからないまま終わってしまうのではと思いましたね。

良かった点としては物語全体の雰囲気ですね。特に序盤から中盤にかけて得体のしれない恐ろしい何かが動き出しているような独特の恐怖感は面白く、先が気になって読み進めました。またこの作品は大きく分けて二部に分かれているのですが、第一部のほうは最後まで謎も多く、結局わからないことだらけで終わってしまうのですが、次の第二部で回収されるのではと期待していました。

そして第二部のほうですが、これはほとんど第一部と同じ時間軸を、違う人物の目線で追っていることになります。たしかにいくらかなぞは解けるのですが、それ以上に超展開というかどんどん新たな設定が追加されていきます。ラストはなんとか収まりましたが、結局あれは何だったのかということがかなり残っていたり、そもそもこれで終わり?という感じになってしまいました…なんというか、「問題編」だけ見せられて「解決編」がないという感じですね。

この作品はいたるところに神話が出てきます。その話がベースにあって、そういう知識があればまた見方は違うのかもしれません。ただそれらの話を全く知らない人がプレイすると、?が多く残る気がします。

絵やBGM、演習システムに関しては、シェア同人ゲームとしては最低限を満たしてない気がします…立ち絵に関してはシルエットのみのほうが逆に良いと思う方もいるかもしれませんが・・・少なくともシナリオ以外の部分は期待する点ではないと思います。

ちょっと辛口になってしまいましたが、文章は読みやすいし、暗い感じの雰囲気の中、じっくりと小説を読んでいる感じなのは良かったです。それだけにこれで終わりなのがもったいない感じがしました。ボリュームがあってしっかり世界観も作られて、あとはもう一つトゥルールートがあればもっと違ったかもしれません。暗めの雰囲気が好きな方、神話が絡んだ物語がお好きの方にはお勧めできると思います。